家づくりを考えるきっかけの多くは、結婚や出産です。家づくりは、まさに子育ての一環とも言えるでしょう。
建築の専門家であるアート・宙の代表小椋と、教育の専門家である学習塾を運営する株式会社CbyEDTECHの山本代表による対談シリーズ。9回目となる今回のテーマは、家づくりで親が考える「子どもと過ごす空間」です。
—————————————————————————————————–
山本:コロナ禍を経て、わたしたちの生活の仕方は大きく変わりましたよね。
在宅ワークも一般化し、お家時間は増えたことは、ご家族で過ごす時間が長くなったことにつながると思うのですが、家づくりでも何か変化はありますか?
小椋: そうですね…家で仕事をするために、書斎をつくられたり、リビングの一角に仕事ができるデスクやカウンターを設けたりする方は増えましたね。

山本:リモート会議などもあるでしょうから、家の中にもオン・オフ切り替えられる仕事部屋は必要ですね。
子育て世帯では、家で過ごす時間が増えれば、当然お子さんと過ごす時間も長くなり、どのように子どもと過ごすかをよく考えた家づくりをされるのではないですか?
小椋: 中には、お子さんと一緒に遊びたいと、お庭づくりに力を入れたり、家の中にクライミングウォールなどアトラクション的要素をとり入れたりして、お子さんと過ごす空間にこだわりをもつ方もいらっしゃると思います。
ただ、家づくりそのものの価値観が変わってきたことで、逆に子ども中心の考え方は少なくなってきたように思います。
山本:それはどういうことですか?
小椋:昔は、「良い車に乗りたい」とか「高い時計が欲しい」とか、そういった価値観が一般的で、家づくりでも同様に、「広ければ広いだけ良い」「大きな庭が欲しい」と思う人がほとんどだったと思います。
でも今はみなさん、大小関係なく、自分たちに合った暮らしが実現するものへお金をかける、「自分たちが満足できればそれで良い」という価値観で家づくりをされます。
山本:確かに、あらゆるものがサブスク化し、車も要らないという人もいて、すると駐車スペースも無くていいということだってあり得ますよね。ほとんどモノを持たないミニマリストのような暮らしだってありますし…。

小椋:そうです、必要ないものはどんどん削る考え方です。
子育て世帯の家づくりでは、もちろん、お子さんが幼ければ、子育てのために畳スペースを設けるなど、子どものことを優先してつくる空間もあります。
ただ最近の家づくりでは、「決め打ちしない」ことがポイントで、子どもは成長し将来どうなるか分からないからこそ、あらかじめ決めないとする方が多いように思います。
リビングの勉強スペースも、だんだん無くなってきているんですよ。
山本:では子どもたちはどこで宿題や勉強をするのですか?
小椋:「どこ」というのをあらかじめ決めないのです。その時期がきて、子どもがしたいと思うところを自由に選んでやれば良いと考えられるようです。それがリビングでもダイニングでも、畳コーナーでも自身の部屋でも、どこだって良いのです。

いつまで使うか分からないものに費用を費やさない。それは節約的な考え方とはちょっと違い、そのご家族に本当に価値あるものを追求した家づくりを意味していると思います。
山本:なるほど。そういった考えが、「コンパクトな家」がトレンドである背景なんですね。