三重県亀山市のJR新堂駅前にある「SHINDO YARDS」。
以前から気になっていた場所のひとつで、先日ゆっくりと訪れる機会がありました。
(私の自宅のある鈴鹿市から、実家に帰る道すがらにあり、取るたびに気になっていました)
駅前という立地ですが、どこか慌ただしさを感じさせない落ち着いた雰囲気があります。
その中にある施設のひとつが「BOOKMARK STORAGE」です。
外観はとてもシンプルですが、近づくと素材の質感や空間のつくり方に丁寧さを感じます。
設計の仕事をしていると、つい建物の納まりやスケール感に目がいきますが、
過度に主張することなく街の空気に馴染んでいる建物だと感じました。
中に入ると、まず印象的なのは静かな空気感です。
図書館というよりも、「本のある居場所」といった方がしっくりくるような空間でした。
大きな窓から柔らかい光が入り、木の質感を活かした家具が落ち着いた雰囲気をつくっています。
平日の日中という事もあり、利用客はまばらでしたが、ゆえに各々、それぞれが思い思いの
時間を過ごしていて、自然と長居してしまうような居心地の良さがありました。

施設の中には小さなカフェも併設されています。
本を手に取りながらコーヒーを飲める空間になっていて、本と日常の距離が近くなるような感覚があります。こうした場所があることで、図書館という施設がぐっと身近なものになる気がしました。
並んでいる本も、建築や暮らし、地域文化など興味深いものが多く、普段の仕事とは少し違う視点で建築や空間について考えるきっかけにもなります。
SHINDO YARDS全体を歩いて感じたのは、「駅前の時間をゆっくり取り戻していくような場所」だということでした。
単に建物をつくるのではなく、人が集まり、滞在し、地域の時間が積み重なっていく。そんな場づくりが少しずつ進んでいるように感じます。
私の地元もそうなのですが、地方の駅前はどうしても人の流れが減りがちです。
こうした取り組みがあることで街の景色は少しずつ変わっていくのかもしれません。
建築に携わる仕事をしていると、建物の形や性能に目が向きがちですが、本来はその場所でどんな時間が生まれるのかまで考えることが大切だと改めて感じました。


家づくりも同じで、ただ「建物をつくる」だけではなく、そこでどんな時間を過ごすのか、
どんな暮らしが生まれるのかを考えることが大切だと思っています。
本を読む時間、家族でコーヒーを飲む時間、何気ない日常のひととき。
そんな暮らしの風景が自然と生まれるような住まいを、
これからも考えていきたいと感じた一日でした。